仕事は、薬品に触れる部品の検品。手袋を着用する機会が多く、3年前に湿疹が発症してから治らず、慢性化している。夜になると痒くなり、かきむしり、患部は苔癬化。3年の間でステロイドの外用剤が強くなる。今現在、アンテベートを塗っても良くならない。皮膚の悩みだけでなく、眠れない事と夜間に出る不整脈、パニック症状の不安もある。
この方の場合は①眠れない②不整脈③パニック症状の予防の為に漢方を使い、その改善と同時進行で皮膚も良くなっていきました。このように異なる病気が同じ治療で改善する事を、漢方では異病同治(いびょうどうち)と考えます。病気が異なっても原因そのものを良くする事で同時に改善できます。
今回は「血」に焦点を合わせました。「血」は栄養という役割だけでなく、潤養作用があります。心が潤う事で眠りや不整脈やパニック症状も改善します。皮膚の状態は、写真でも分かるように苔癬化(ゴワゴワ感)しており、漢方では血虚風燥と捉えます。不足している「血」を足すことで皮膚の痒み、乾燥だけでなく、肌の色も良くなりました。写真は漢方を始めて2ヶ月後です。
仕事は、水に触れる仕事。6年前に湿疹が発症してから治らず、慢性化している。冬でもないのに、アカギレが酷く絆創膏が離せない。痛くて手で拳を作れない。皮膚科ではステロイド外用剤(ジフラール)のみで効果を感じられない。住まい遠く、来局は難しく、ネットを通してのご相談。
今回の女性の場合、やや浮腫みもあり水分代謝が悪い方でした。写真にもあるように舌全体が大きく、舌苔も厚みがあります。便通は悪い。便は粘りが強い傾向から湿熱旺盛と判断。湿を取り除く漢方と血液を増やす漢方を処方。服用開始16日目、手先の温もりを実感。服用開始 30日目、指先のアカギレが良くなり、絆創膏をしなくても良くなる。服用開始48日目、強く拳を作っても痛くなくなる。潤いのある手になり、身体の冷えも改善。同僚からも若々しくなったと言われるようになりました。
写真は漢方を始めて30日後です。
手は様々な刺激にさらされています。主婦が使う洗剤は皮脂膜を破壊するので、主婦湿疹を発症させます。また美容師さんも、シャンプーやパーマ液の影響で同様の症状があらわれます。
角質のバリアー機能を漢方では「衛気」と呼び、それらを作るのは「脾」と「肺」の力と考えます。お腹のトラブルが多い、よく風邪をひく、鼻炎や気管のトラブルが多い方もこの「衛気」が足りていないのです。
「衛気」の力は手の湿疹を診る上でのバロメーターになります。女性の手湿疹は、皮膚を養膚(ようふ)するための「血」も大切な要素になります。皮膚を診るのではなく内臓である内面を診る事。スキンケアは皮脂が不足しているのか、水分が不足しているのかで「化粧水」「保湿クリーム」の優先順位が変わります。血を足す(補血)漢方と皮膚のバリアを高める漢方を内面から補い、さらに肌の状態に合わせたスキンケアを行うことで脱ステロイドを目指します。