産まれた時から肌が弱く、耳切れもある、出産後は母乳のみで、5ケ月位から離乳食(おかゆ)を開始、母乳は飲みたい時だけ与える。まだ5ヶ月と小さいので食物アレルギーの詳しい検査もできないまま小児アトピーと診断。入浴後にヒルロイドを塗るが改善されない。ブツブツが出ては乾燥するの繰り返し、湿疹の範囲が広がってきたので、何か効果的な外用剤を希望して来局。
食物アレルギーの検査は生後半年未満の乳児はあまり行われず、原因が分からない事をとても心配してました。おかゆだけの離乳食でも、吸収時に湿疹として現れる場合があります。この子の場合、産まれた時よりやや便通が悪いのも皮膚病の下地になりますね。乳児の場合、漢方を口から服用する事が困難なので、外用剤のみを希望される方が多いのですが、まずお母さんがこの子に必要な漢方を飲み、母乳を通じて赤ちゃんに漢方を飲ませてあげる(経母乳投与)が理想です。漢方は腸内細菌の環境をよくするもの、消化器系に働く健脾作用のあるものを処方。また滲出部分だけ清熱作用のある漢方液を塗布しました。
20日後、紅斑は減り滲出部分は綺麗に。同処方を3ヶ 月服用すると、紅斑は消失し耳切れも完治。写真は1ヶ月後のものです。
一年前の夏から、お風呂に入ると左脇が痒くなり搔破してしまう。湿疹は左脇から脇腹まで拡大。元々活発な子供さんで外遊びをした後も湿疹が酷くなる。少しでも乾燥を改善したいと保湿クリームを何度も塗るが、変化がないだけでなく、皮膚自体が赤くなり広がる。雨降りの天気や、湿気の多い日は悪化する。お腹が減りやすく保育園から帰ってきたらおやつ(くるみ、ヨーグルト、お餅、芋)やホットミルクもよく欲しがる、やや便秘傾向も気になり来店。
乳児の湿疹と同じように、消化器官が十分に備わっていない状態で、消化の悪い乳製品やもち米を食べると体内で熱を作ります。この子も湿気がある時に湿疹が悪くなるので、薬は湿気を追い出す漢方と皮膚の熱を取り除く漢方を処方。出来るだけ鶏肉や揚げ物、乳製品を控えて頂きました。
便通は便秘から軟便に変わり、湿疹もひと月位で改善しました。舌は舌尖が赤く、舌苔は薄いです。こもった熱を便や尿で排泄すると幼児湿疹はかなり早く改善されます。写真は漢方服用開始より1ヶ月後です。
乳幼児の場合、大人と比べ精神的なストレスがなく、ステロイドの使用歴も浅いため、皮膚の改善期間が比較的短く感じます。ただし、痒ければ掻きむしってしまうことを配慮する必要があります。漢方では、皮膚を含めた「肺」の弱り、消化器系の「脾」の弱りを中心に考えます。
例えば「肺」のトラブルが多い子は、皮膚病だけでなく、鼻のトラブル(副鼻腔炎、花粉症など)や気管のトラブル(喘息など)に移行しやすいですね。そこで、「肺」「脾」を強化しながら腸内環境を整えるようにします。