10ヶ月前より口の周りの湿疹が気になり皮膚科を受診。口周囲炎と診断されロコイドを4ヶ月使用。改善されなく、別の皮膚科を受診。診断は真菌症と診断され、ニゾラールクリームを使用。その後、痒みや腫れが酷くなりリンデロンVGクリームに変更して。
3ヶ月使用。口周囲の湿疹の患部が広がり、別の病院を受診。診断は面皰。アダパレンゲルが処方される。でも改善されず、口周囲だけの湿疹が頬まで広がる。この頃から学校で人目が気になり、マスクが離せなくなる。口 、頬周りの熱感と乾燥感が辛くなり当局へ来店。
最初の所見で酒さ様皮膚炎と判断できました。酒さ様皮膚炎は頬周りの浮状腫、発疹、丘疹、膿脹が酷くなるのが特徴です。原因はステロイドホルモン剤の長期使用が考えられます。彼女がさかんに話されていた皮膚の乾燥感、ヒリヒリして起きる灼熱感 、つっぱり感は中医学では熱毒と考えます。
23年前、首の後ろに湿疹が出来て、皮膚科でステロイドを処方。痒みが良くなったり、悪化したりを繰り返しながら、半年後には全身に湿疹が広がる。風呂場にて、ナイロンで体を擦ることが習慣になってしまう。家族が注意しても聞き入れず 、皮膚が硬く(苔癬化)なって黒化。
皮膚科では、ステロイド(アンテベート)を塗るしか方法がないと言われる。知人が当局で慢性湿疹が良くなったと聞き、来店。
今の皮膚炎の原因がステロイドの長期使用による影響、ナイロンで皮膚を擦る事による影響であることを丁寧にお伝えしました。食事は焼酎、コーヒー、菓子パンが多く、慢性的に血糖と中性脂肪が高いことが更に、皮膚の状況を悪くしていることを説明。解毒の効果が期待できる漢方と腸内環境を整える事を意識した漢方、腎の働きを手助けする漢方を勧めました。説明を聞いた翌日から断酒し、間食も殆ど控えるように。
体を洗うナイロンは綿に変更。最初は「テルモベート」と併用していましたが、徐々に弱いステロイドに変更。次は塗る回数を少なくし、薬を継続しました。開始から4ヶ月後、風呂から上がっても殆ど痒くない。皮膚の色も良くなってきました。服用開始から6ヶ月後にはステロイドも外れ、血糖値、中性脂肪の数値も正常に。体重は漢方開始時から6キロ減量。写真は服用開始から5ヶ月後のものです。
5年前、畑仕事の際に腕に紅斑が出始める。当初は接触性皮膚炎と診断。以来、腕だけでなく、四肢の内側、首、お腹、胸部に紅斑、掻痒を繰り返す。外用薬(アンテベート、ワセリン混入)を塗布し、増悪と寛解を繰り返す。紫外線療法を半年間行うも皮膚の萎縮を体感され、漢方で体質改善されたくて来店。
今回の男性の場合、最初の問診時に皮膚全体の紅斑だけでなく、浮腫みも気になりました。外用薬の長期連用と炎症の繰り返しにより、肌は紅潮と皮膚の水分代謝が低下します。処方は清熱と利湿を主に考えました。舌診(舌写真)で舌先(舌尖部)の粒状(点刺)を確認。点刺が見られる方は精神的ストレス、食事面は刺激物を好む傾向があります。漢方と併用して食生活の養生も守って頂きました。漢方開始30日目。紅斑、掻痒がよくなり、さらにもう一ヶ月同じ処方を継続。服用開始72日目。症状は大幅に改善され、掻痒感は全くなく、全体的に肌の引き締まりも体感。今は夜も熟睡出来るようになりました。
皮膚トラブルの治療は、軟膏やクリームがメインになります。ステロイド剤を使用すると、炎症を効果的に取り除く事が出来ます。しかし、長期的に使用すると効き目が弱くなるので、強めのステロイド(強弱5段階)に移行しがちです。ステロイド皮膚炎は、ある意味、西洋医学での治療の限界、ステロイドホルモン剤の影響で治りを悪くした湿疹ともいえるでしょう。
漢方では、その影響は腎に及ぼすと考えます。腎は生殖やホルモン、蓄積された酸化ステロイドの排泄に関与。また「肺」と並んで皮膚の新陳代謝にも大きく影響します。漢方は腎と肺を補うものを中心に考えます。