不育症(習慣性流産)とは、3回以上流産を繰り返した場合を指します。
不育症を引き起こす原因は沢山ありますが、病院での検査では引っかからないケースが多いです。
そういう場合は間違いなく漢方的な原因があります。いわゆる体質的な原因です。漢方的な流産を起こしやすい体質で多いのは瘀血や血虚ですが、それ以外にも水毒や気虚、腎虚など様々な原因が考えられます。何度も流産して病院で調べてもらっても特に問題が無い場合は、漢方薬を試してみることをお勧めします。高齢の場合は、3度流産してなくても2度でも流産経験があるなら、抗リン脂質抗体の検査だけは必ず受けておくべきだと思います。
・胎児の問題
主に染色体異常が原因と考えられます。
たまたま染色体異常になるケース(減数分裂時にたまたまエラーを起こし、染色体異常を生じる場合、母体の染色体異常や、精子側(父親由来)の染色体異常の可能性もあります。
・性器の異常による問題
子宮の形態異常、子宮の位置異常(子宮後屈など)、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腔癒着症、子宮頸管無力症(妊娠中期以降自覚がないまま、いつのまにか子宮口が開き、破水して流産する疾患)
・性器以外の問題
抗リン脂質抗体、黄体機能不全、甲状腺機能低下症など
①不育症で見られることのある基礎体温のグラフパターン1
低温期から高温期へ徐々に上がるタイプです。黄体機能不全などでみられます。
②不育症で見られることのある基礎体温のグラフパターン2
不育症の方は妊娠はされるので、あまり極端に卵巣機能は弱っていません。
しかし軽度に卵巣機能が弱いため、妊娠を継続出来ないタイプの方もおられるのです。
この基礎体温のパターンは、軽度な黄体機能不全の方にみられるグラフパターンです。
③不育症で見られることのある基礎体温のグラフパターン3
軽度の甲状腺機能低下症でみられる基礎体温のパターンです。
④不育症で見られることのある基礎体温のグラフパターン4
子宮筋腫・子宮内膜症の患者さんにみられる基礎体温のグラフです。
生理が来たのに高温期が下がらないような基礎体温になることが多いです。
少しやっかいな抗リン脂質抗体について
多いのが、抗リン脂質抗体症候群。これは自己免疫の異常で血液が固まりやすくなり、動脈塞栓・静脈塞栓を繰り返す疾患です。胎児が成長するためには、非常に多くの血液を必要とします。
ですが胎盤付近の血管はまだ細いので、血栓ができるとすぐに詰まって胎児に血液が供給できなくなります。栄養失調のような状態になり、成長が止まってしまいます。不育症や習慣性流産を引き起こす場合、症状が軽度で本人が気づいていない場合が多いので、注意が必要です。
東洋医学では、血虚(血液不足、働きの低下)、瘀血(おけつ)(血流の滞り)、水毒(水分代謝の乱れ)、気虚(エネルギーである気の不足)、腎虚(腎のエネルギー不足による老化現象)などが原因として考えられます。
その方の今の状態をよく判断し、子宮周囲や骨盤内の血流を改善する漢方を服用しながら同時に漢方スチームを併用していきます。