プロラクチンとは乳汁分泌ホルモンのことです。
このホルモンは出産後の女性が高濃度に分泌され、その結果として母乳が出るわけです。
そしてこのホルモンの働きは乳汁分泌と同時に、排卵の抑制も行います。つまり母乳をあげている時には、次の妊娠はしないように出来ているのです。
通常、出産後の母親だけが高くなるホルモンなのです。ところが出産していないのにホルモンが高濃度になっている状態が、高プロラクチン血症なのです。プロラクチンが高い状態であると黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑制します。
黄体形成ホルモン(LH)は排卵の引き金になるLHサージに必要不可欠なホルモンです。
プロラクチンの値が軽度に高い状態の時には、黄体形成ホルモン(LH)は分泌されます。
ただしプロラクチンによっていつもより黄体形成ホルモン(LH)の分泌の抑制のため、通常に比べると基礎体温の低温期が長くなったり、低温期から高温期への移行が遅くなったり、高温期が短くなったりします。
さらにプロラクチンの値があまりにも高いと、黄体形成ホルモンの分泌が不十分となり排卵を抑制します。
その結果排卵障害が起こり、稀月経、無排卵月経、無月経などを引き起こし、これが不妊の原因となるのです。また高プロラクチン血症は不育症の原因の一つにもなります。
・流産
・人工妊娠中絶
・脳下垂体の腫瘍(ほとんどが良性)
・向精神薬の服用(ドグマチール)
・甲状腺機能低下症
・出産
・原因不明 (はっきり分からない)
・稀発月経
・無月経、無排卵
・妊娠しづらい
・流産しやすい
・母乳が出る
・乳房が張る
・視野狭窄、頭痛(下垂体腫瘍が原因となっている高プロラクチン血症の場合に生じます)
高プロラクチン血症の方の基礎体温は低温期から高温期にかけて徐々に上がるグラフを描くことが多いです。
プロラクチンは血液検査によって簡単に検査が可能です。プロラクチンは生理1日目~5日目の間に測定されるのが一般的です。
血液検査値と診断
プロラクチン値(ng/ml) 診断
15未満 正常
16~30未満 一般的には正常の範囲であるが、不妊専門クリニックなどではこの値でも不妊の原因となっていると判断してプロラクチンを下げる薬剤を投与するケースは多いです。
30以上 高プロラクチン血症
100以上 下垂体腺腫(プロラクチノーマ)を疑う。
パーロデル、カバサール、テルロンなどの薬剤が用いられます。これらは比較的早く作用し、プロラクチンの値を下げます。しかし、副作用が出やすく、吐き気 、嘔吐、頭痛、食欲不振などが表れ、服用が難しいケースがあります。
乳汁分泌ホルモン・プロラクチンは、乳汁分泌と同時に、排卵の抑制という働きがあります。その性質上、通常は出産後の母親だけが高くなるもの。ですが、妊娠していないのに高プロラクチン状態になることもあり、東洋医学では肝気鬱結という状態に近いと考えます。
肝気鬱結は、精神的ストレスや自律神経の乱れが引き金になって生じる場合が多いですが、体質的な場合もあります。主な特徴は、乳房の張り。通常、生理前に乳房が張ることはありますが、張りが異常に強い、期間が長い、イライラなどの症状を伴う、などの場合は肝気鬱結が疑われます。